土佐九斤とは

明治時代に高知県で作出された卵肉兼用品種の日本鶏。 中国原産のコーチン(九斤と書く)をベースとして作り出された。 卵肉兼用種とは、卵もたくさん産むし、身体も大きくなって肉もたくさん採れる品種、ということで、 当時としては高性能な実用鶏だった。 1960年代に海外からの鶏の輸入が解禁される以前には、土佐九斤の卵肉が大いに利用されていたらしい。   標準体重は、文献によるとオス約4.5kg、メス約3.4kgとあるが、現在ではそれに満たないものが多い。
これは飼養羽数の減少による近親交配が原因の一つといわれているが、一方で、餌の内容と飼い方次第ではオスで4kgを超えるものもあるらしく、 「実際のところは昔からこれくらいだったんじゃないの?」
(某日本鶏の先生談)  という説もある。   たしかに山のおんちゃんらの昔話はけっこうな勢いで盛られている、と思うこともなくも無いが、その真偽のほどを確かめるべく、松原ミートでは、過去の文献に基づく大きなサイズの土佐九斤の復元を最終目標とし、飼養羽数の増加に努めることとする。

卵の販売について

松原ミートでは「土佐九斤の卵」を販売しています。

今どきの卵と比べると小さめですが、烏骨鶏よりはぜんぜん大きいです。
産卵率は、過去の文献によると40%台と予想され、今どきの80%台の鶏と比べると必然的に値段が高くなりますが、松原ミートでは「良い餌」を与えているため、もしかしたらもうちょっと産卵率が上がるんじゃないか?という期待もあり(いまからデータを取っていくところ)、その場合はもうちょっと値下げできるかもしれないと考えていますが、飼料価格の高騰が続いている現状では、いまのところお約束できません。


ということで

卵を買っていただけるお客さまには、

「土佐九斤の維持復元に対する投資」

 と思って食べていただけるとありがたいです。

 

【販売店】
土佐山田ショッピングセンターバリュー かがみの店・ノア店

 

 

élevage  松原ミートとは

松原ミートの養鶏部門。

高知県在来の日本鶏「土佐九斤」の維持、復元を目標とし、卵の販売及び焼き鳥屋を展開する。★土佐九斤飼いたい人も募集中


与えている餌について

「ジロー邑(じろーむら)」 という、高知県が土佐ジロー用に開発した配合飼料です。

ちょっと値段が高いですが、購入できる鶏のエサとしては破格の内容で、抗生物質、ポストハーベスト等薬物は含まれておらず、遺伝子組み換え作物の分別生産流通管理済み(ややこしい)の作物を主に配合されています。

分別生産流出管理とは、遺伝子組み換え作物が5%以下の場合に使える表示で、完全にゼロです、というわけではなく、若干の混入の可能性があります、ということになりますので、100%non-GMをお求めの方にはおすすめいたしません。


100%non-GMじゃないのになぜ使うのか?

というと、実は以前、鶏を完全放し飼いにしていたときに、クズ米だけ与えてあとは自分でエサを探しなさい、という飼い方をしていたんですが、体調を崩して死ぬ個体が度々おりまして、それからいろいろあって完全放し飼いをやめることになったときに(基本鶏舎で平飼いで、草地の様子見ながらたまに外に出す)、クズ米だけでは栄養が足りないからと仕方なく「ジロー邑」の使用に踏み切ったところ、鶏たちがほぼまったく弱ることなく、完全放し飼いのときよりどんどん大きくなるし、いままで卵を産まなかった時期にも産むようになったし、あきらかにメリットが大きく、それまで鶏たちを栄養失調で弱らせていたという事実に気づき深く反省し、継続使用することに決めました。

この「ジロー邑」をベースに、近所で借りた畑で栽培している地キビ、タカキビ、アワ、小キビ等の雑穀、菜っぱやクローバーなどの草、肉の加工で出た血肉やスジ、軟骨等のミンチなどなど、できるだけ自社生産した餌の割合を増やしていこうと準備を進めています。

なぜ土佐九斤を維持したいのか?

ただ卵を売りたいだけなら、産卵率の高い鶏種がいろいろあります。 ただ肉を売りたいだけなら、増体性能の高い鶏種がいろいろあります。 土佐九斤は、卵肉どちらの性能も一昔前のもので、今どきの鶏には及びません。 ではなぜ土佐九斤にこだわるのか? その理由を説明します。

①見た目が好き

画像でご覧の通り、見た目がキレイです。 個人的な好みを押し付けるつもりはありませんが、土佐九斤を見た人の多くにご賛同をいただいてます。

②飼いやすい

どうやら性格が大人しいようです。 「子どものころ卵とりに鶏小屋に行かされるのが怖くてイヤだった」という話をよく耳にしますが、土佐九斤はオスが襲いかかってくることは無いし、抱卵中のメスのお腹の下から卵を取っても突いてきません。 育て方を間違えると凶暴化するという事例もありますが、基本的な性質は大人しい、ということは間違いないようです。

③自分で殖やせる

卵を孵せば同じ土佐九斤が産まれます。 当たり前だと思うかもしれませんが、例えば土佐ジローやはちきん地鶏みたいな交雑種の場合、その卵を孵すと違う形質の鶏が産まれます。 どちらかの親に近づいていくようですが、それで身体が大きくなったり小さくなったり、卵をあんまり産まなくなったりといろいろな変化をするので、仕事として飼う場合はちょっと問題ありですね。 あとは、外国の企業が権利を握っている鶏種なんかもあるらしく、商業レベルで勝手に殖やすと問題になることもあるようです。 これらのような鶏種はいちいちヒナを購入しなければならず、土佐九斤のように自分で殖やせる実用種の鶏は実は希少な存在だったりします。

④抱卵できる

鶏が抱卵(卵をお腹の下で温めてヒナを孵す行為)できるのは当たり前だと思われるでしょうが、現代の改良種の卵用鶏はこれができません。なぜ抱卵できなくなったかというと、抱卵期間中は鶏は卵を産まなくなるので、卵の生産効率が下がるため、そのような"改良"がなされているのです。 そのため現代の卵用鶏は年間300個くらいの卵を産めるようになっているそうです。 土佐九斤は、そのような改良は施されていないので年間150個程度しか卵を産みませんが、ふつうに抱卵するし子育てもします。

⑤気候風土に合っている

地域に根差して長く飼われていた鶏は、その土地の気候風土に馴れています。 高知県は寒暖の差が大きく、日差しが強く湿度も高く、雨風も強いですが、そんな環境でも元気に生きています。 これは土佐九斤に限らず日本全国の日本鶏も同じで、庭先養鶏のような飼い方にはその土地で昔から飼われていた日本鶏が向いていると思われます。

⑥肉がうまい

松原ミートが扱う肉は美味くなければならない。 土佐九斤は成長が遅く、最低半年くらいは飼わないと肉の量がとれません。 が、早く大きく育つ今どきの鶏肉とは違い、しっかり旨味がのり、また脂も程よくつく性質のため、キジなどの野鳥とは違う、人が飼育した「鶏らしい味」に仕上がります。 これをお伝えするためには精肉の販売をするべきなのでしょうが、いかんせん松原ミートの養鶏施設では生産量が少なすぎて、今のところ焼き鳥で販売する以外に食べていただく機会がつくれません。 これが今後の課題であり、土佐九斤を飼育したい方を幅広く募集し、普及に努めていこうと考えています。

 

以上、長々と土佐九斤の説明でした。

繰り返しになりますが、土佐九斤の維持にご賛同いただける皆様、卵買ってやってください。

 

よろしくお願いいたします。